外壁塗装の塗料は、さまざまな種類があり各メーカーから販売されています。
質感・色・性能など、選ぶ要素は人によって異なりますが、塗料がどれぐらいもつのかということも重要な要素となってきます。
今の住居に長く住み続けるためには、塗料選びには慎重にならざるを得ません。
しかし、単に長持ちする塗料が良いものというと、そうでないことも。
今回は塗料の耐用年数と適切な塗料の選び方、そして外壁塗装は減価償却(費用÷耐用期間)に当たるかどうかについて、ご紹介したいと思います。
ぜひ、あなたのお家のご参考にしてください。
■塗料の耐用年数
こちらでは塗料が物理的にどれだけの期間、家を守ってくれるのか、目安となるメーカーが推奨している年数を紹介します。
塗料は主成分の合成樹脂によってグレードや耐久年数が異なっているため、アクリル塗料と無機塗料を比べると10~18年もの差があります。
もちろん塗料が長持ちするということはメリットも多いですが、グレードの低い塗料のほうが適している方もいるため、安易に耐用年数が長いものが良いという考えはやめましょう。
塗料の種類 | 耐用年数 |
---|---|
アクリル塗料 | 5~7年 |
ウレタン塗料 | 7~10年 |
シリコン塗料 | 10~13年 |
ラジカル制御系塗料 | 12~15年 |
フッ素塗料 | 15~20年 |
無機塗料 | 15~25年 |
光触媒塗料 | 15年~20年 |
・コストパフォーマンスが高いシリコン塗料
数ある塗料の中で、メジャーなものがシリコン塗料です。各メーカーとも非常に力を入れており、商品ラインナップが豊富なことも利点といえるでしょう。
そのため、どの塗料にするか迷ったときはシリコン塗料を選べば、間違いは少ないとされています。
単価は2,500~3,500円/㎡ほどで約10~13年の耐用年数があり、これらを考慮するとバランスの取れた塗料です。
塗料の耐用年数と費用を堅実に選択したい方には最適です。
それと、シーリング(コーキング:外壁の隙間に塗られ防水性のシリコンのこと)の耐用年数は10年とされ、外壁に関わる修繕工事を一度に行えるというメリットもあります。
フッ素塗料や光触媒塗料など耐用年数は長いですが、シーリングは15~20年も耐えられないとされているので、個別の工事が必要になってくるでしょう。
また、足場代などの工事費が2重にかかってしまうため、一度にまとめて行いたい方はシリコン塗料など耐用年数が短いものを選ぶと良いでしょう。
しかし、メリットの多いシリコン塗料ですが、海周辺にお住まいの方ですと、塩害の影響で耐用年数がぐっと短くなる傾向があります。
周辺環境や立地になどによって塗料の向き不向きがあるので注意しましょう。
・艶ありは長持ちする
塗料の中には艶あり・艶なしを選べる商品があります。耐用年数に関して言えば艶ありのほうが長いとされています。
艶なしの塗料は元々艶のある塗料に、艶消し調剤を混ぜ込むことによって艶を抑えています。このため、塗料としての性能が落ち込むことは否めません。
そもそもこの艶自体が水や汚れを弾くため、艶のないマットな質感だと汚れが付きやすいのは想像できるでしょう。
汚れが付きやすいということは劣化を早める原因にもなります。
現在は艶なしでも艶ありと同じぐらいの耐久性があるとされている商品も出ていますが、取扱っている業者も少ないので、こだわりがなければ艶ありを選ぶことをおすすめします。
・グレードの低い塗料がお得なことも
長くお家に住む予定はなく10年以内に売却を考えているのなら、ウレタン塗料やアクリル塗料を選ぶといいでしょう。
売却を考えているのにフッ素塗料などのグレードの高いものを使うと、費用が割高になってしまいます。
あくまで外観を美しく整えて、最低限の資産価値を守るというぐらいの外壁塗装を検討してみるのもよいかもしれません。
ただし、マンションやアパート、2世帯住宅などの大きな建物の塗装は、1度にかかる工事費が普通の家よりも高額なので、耐久性の高い塗料が向いているとされています。
・家の寿命が延びるわけではない
住宅に使われている外壁材としてメジャーなのはサイディングボードと呼ばれる外壁を形成するパネル型の外壁材です。
一般的に多いのは窯業系と呼ばれるもので、土や砂などを窯で高熱処理したセメントに繊維を混合して、軽さと強度をかね合わせたものです。
耐用年数は約20〜30年とされています。
もちろんこの寿命を保つためには10年ごとに外壁塗装をしなければなりませんが、その寿命ぎりぎりに外壁塗装をするとどうなるのでしょうか。
外壁塗装は実は、塗り替えたところでお家の寿命が延びることはありません。
つまるところ、外壁塗装は建物の美観を保ち・外壁の保護を目的としているので、外壁や住宅自体の劣化そのものを止めることはできません。
寿命に差し掛かったら、外壁の取替え工事や住宅の建替え工事が必要なので、築年数がたったお家なら外壁塗装よりもこちらを検討したほうがよいでしょう。
■耐用年数は必ずしも当てはまらない
ここまで紹介してきた塗料の耐用年数ですが、必ずしもこれらの年数保てるとは限りません。
先述で紹介しましたが、塩害があればシリコン塗料の耐用年数は10~13年も保てませんし、晴天率の高い場所では紫外線による劣化のスピードが早まる傾向があります。
これらの耐用年数はメーカー側が「促進対候性試験機」で塗料の耐久性を検証して、得られたデータをもとに発表しているため、実際に外壁に塗って計測しているわけではないのです。
そのため、塗料の耐用年数は目安としてとらえたほうがよいでしょう。
なお、日本ペイントにおいては原則1年の品質保証があるため、期間内に不具合が生じたら補修してもらうことも可能です。
■減価償却に対する耐用年数
ここからは、減価償却の処理に必要な耐用年数について述べていきます。
マンションやアパートのオーナー、住宅を店舗や事務所としてお使いの事業者もいるでしょう。
建物は固定資産のため、外壁塗装の費用計上はどうなるのか気になるところだと思います。
基本的に、外壁塗装は修繕や原状回復とみなされることが多いため、修繕費として計上することができます。
そうすれば、減価償却の必要がないため、その年の経費として計上することができ、翌年の所得税を減らすことが可能でしょう。
ただし、グレートの高い塗料を使ったり、外壁を丈夫なものに変更したりすると、資産価値が上がったとみなされ、減価償却が必要になります。
その場合は定額法となるので、国の定めた建物の法定耐用年数で割って計上します。
耐用年数は建物の築年数とは関係ないので、築10年の木造建物を外壁塗装したとすれば、法定耐用年数の22年が築10年時点からスタートすることになるでしょう。
そういうことなので、外壁塗装に掛かった費用は22で割らなければなりません。
国税庁が建物や器具の法定耐用年数を発表しているので、気になった方はぜひ調べてみてください。
■まとめ
耐用年数の長い塗料、人気の塗料を選べば間違いない、ということはあてはまらないことがあるので、一度立ち止まってお家の立地や今後の予定と照らし合わせてみるのをオススメします。
大西塗装は神戸市を中心に兵庫県にて、外壁塗装をはじめとした塗装工事を承っております。
戸建て住宅以外にハイツ・アパートなどの小規模集合住宅の塗装工事も対応しておりますので、改修工事を検討されているオーナー様、管理会社様がいらっしゃいましたら、お気軽にご相談ください。
当ホームページでは施工事例を多数紹介しておりますので、外壁塗装などの依頼をお考えでしたら、ぜひ参考にしてみてください。